caramel 8

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教室に戻ると知らない男の人が拓と話していた。 誰だ? 俺に気づいた拓が笑顔で俺に手招きする。 「何?」 「秦!この人、横山のお父さん!!」 「え?」 男の人を見るとその人は柔らかく笑った。 「浅田秦くん、だね?よく文乃と彩乃から聞いてたよ」 「あ、あの……」 「彩乃は今、私と一緒に暮らしてる。でも、この学校で辛い事があったのか学校を辞める事にしたんだ」 その言葉に桐原が倒れそうになる。 そんな桐原を支える前川。 「だけど彩乃は君達を嫌っているわけじゃない。君達が好きだから離れないといけないと思ったんじゃないかな。……私には少し分かるから」 そう言って寂しそうに笑う男の人。 「でも私は彩乃に学校を辞めてもらいたくない。こんなにも素敵な友達がいるのに、辞めるなんて勿体ない。そこでお願いがあるんだ。秦くん。彩乃が君に会いたがってる。どうか説得してくれないかな」 彩乃が……俺に……? 固まる俺の背中を押す拓。 なんで、そんな笑顔なんだよ。 お前だって彩乃の事……。 俺の戸惑いが分かったのか、拓がため息をついた。 「俺の事はもういいの!散々引っ掻き回してこんな事言うのもなんだけど……。最初から知ってたし。横山が秦ばっか見てること」 「拓……」 「横山、秦に会いたがってたよ。さっきおじさんの携帯借りて電話したんだ。早く行ってあげなよ」 拓に笑顔で手を振られる。 俺は拓に笑い返して頷いた。 そして男の人と一緒に歩き出した。 「これでようやく、私の事見てくれる?柴咲」 「え?」 前川と拓のそんな会話を聞きながら、俺はただ真っ直ぐ廊下を歩いた。 .
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