caramel 8

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私を元気づけるためにくれたキャラメル。 それからずっと秦が好きだった。 だから嫌じゃなかった。 俯いてギュッと秦の手を握る。 「私……、ずっと秦が好きだったから……っ。何されても、嫌じゃない……」 そう言うと秦は顔を赤くしてため息をついた。 「あー!!もう!!そんな可愛い事、今言う事なくない!?」 「え……?」 「彩乃って本当に……。まぁ、そこが可愛いから仕方ないんだけど」 秦は私の指を弄ぶようにすると、繋いでいない方の手で私の頬を撫でた。 「明日から、一緒に学校行こうよ」 「え?で、でも私……」 「学校、辞めてないよ。彩乃のお父さんが『止めてくれ』って言ってたくらいだから」 「そうなの……?」 「うん。だからここまで迎えに来るよ」 「そ、そんなの悪いよ!!」 「いいよ。ここからの方が学校近いし。それに、俺がそうしたいから」 やっぱり、秦は優しいな。 私は小さく頷いた。 「……福西の事なんだけど」 福西さんの名前が出てきてビクッとする。 そんな私を安心させるように繋いだ手に力を入れる秦。 「もう、大丈夫だから」 「大丈夫……?」 「うん。何かしてきたら俺に言って。俺は福西の言葉より彩乃の言葉を信じるから」 「秦……」 「彩乃。好きだよ」 手を引っ張られてそのまま秦とキスをする。 上手い、とか……下手、とか……。 そんなのよく分からないけど、多分上手いんだと思う。 なんか、気持ちいい……。 私は秦の服を掴んでしばらく幸せに酔いしれていた。 .
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