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楽しそうに笑う桐原さん。
すると授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
「鳴っちゃったわね。このままサボりましょうか、彩乃ちゃん」
「……はい。……………………野々、ちゃん……っ」
そう言うと、桐原さん……野々ちゃんはフンワリ笑った。
「凄く不思議だった事、聞いてもいいかしら?」
「はい?」
「どうして彩乃ちゃんは追いかけられるの?」
「…………浅田くんの幼馴染みなのが気に食わないらしいので……」
「そんなくだらない理由で追いかけられるの?よっぽど暇なのね、みんな」
呆れたように野々ちゃんがそう言うと私は苦笑いしながら旧校舎を見た。
ここにこのまま居るのも良くないよね。
野々ちゃんの制服汚れちゃうし……。
立ち上がると野々ちゃんが不思議そうな顔をした。
「彩乃ちゃん?」
「旧校舎の中に行きませんか?あそこなら簡単に見つかりません」
そう言うと野々ちゃんは頷いて私の手を掴んだ。
「の、野々ちゃん!?」
「何?」
「そ、その……っ。手……」
「私は他の子達と違うのよ?浅田くんには毛ほども興味が無いわ。でも彩乃ちゃんは私のお友達でしょ?」
「と、友達になってくれるんですか……?」
「当たり前よ。言っておくけど、彩乃ちゃんは汚くも何ともないんだから」
野々ちゃんの言葉が嬉しくて、私は野々ちゃんの手をギュッと握り返した。
2人で旧校舎に向かって歩き出す。
なんか、野々ちゃんと並んで歩いてると緊張する……。
ドキドキするし……。
「なんで野々ちゃん、そんなにいい匂いなんですか……?」
そう聞くと野々ちゃんが首を傾げた。
「そう?自分じゃ分からないんだけど……」
「何か、女の子の匂いです……」
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