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私の名前は飯島綾香。
二十七歳。専業主婦。
夫の優司と結婚して半年が過ぎた。一人っ子の私が両親に溺愛されて育ったのを知っている優司は、週に一度は私の実家で過ごすという父との約束を律儀に守ってくれる真面目な性格。
「もう、お父さんったら、それくらいにしておきなさい」
「じゃないか。優司君まだ飲めるだろう?」
「ああ、はい。大丈夫です」
「ほら、母さん。ぼーっとしてないで、綾香の作ったあれ、持ってきてよ」
「もう!」
すっかり呆れ顔の母はいそいそ立ち上がると、酒のつまみを取りにキッチンへ引き返す。その間にも、父と優司は釣りの話しで盛り上がっている。ルアーがどうとか、引きがどうとか、私にはさっぱりついていけない話題ばかり。初めは娘の夫に敵対心丸出しだった父も、今では息子が出来たと喜んでいるようだ。
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