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「はい、おまたせぇ」
キッチンから戻ってきた母のお盆には、私が手土産にこしらえてきたチョコレートタルトが乗っかっている。
父と優司は、甘い物をつまみにお酒を飲む。二人とも大の甘党なのだ。
「本当に、変な食べ合わせね。気持ち悪くならないのかしら?」
母と私はコーヒーを飲みながらケーキを食す。でも、二人は、
「酒のつまみにはしょっぱい物だなんて、誰が決めたんだ?なぁ。優司君?」
「そうですよ。それに、綾香のケーキは絶品で、何にでも合うんだから」
と、こんな調子。
まぁ、そう言われては悪い気はしないけれど。
お菓子作りは私の唯一の趣味で特技。私の料理の腕に優司は惚れたのだ。
あははは…。
笑いの耐えない食卓。両親の笑顔。愛する夫。
こんなに幸せで、いいんだろうか。
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