第1章

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「やだぁ。綾香すっかり奥さんらしくなっちゃって」 友人の愛が久しぶりに我が家を訪れた。 愛は優司の友達と付き合っていたのだけれど、私たちの結婚が決まった直後に振られ、破局。それから、なんとなくぎくしゃくしていたのだ。 「ううん。やっぱ、綾香のケーキは最高!」 アップルパイを頬張りながらはしゃぐ愛は、もうすっかり失恋から立ち直ったように見えた。一時期は、見るに耐えないほどやつれていたのに。良かった、本当に良かった。 「ねぇねぇ。このレシピ教えてくれる?」 「別にいいけど。珍しいのね。愛が料理だなんて」 愛は料理が大の苦手だ。目玉焼きですら上手に作れないのに、お菓子作りだなんて。
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