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さわ…
静かに風のふく森の中、黒色のローブを纏った人物が佇んでいた
「…オーリャ10匹、討伐依頼、SSランク指名…」
彼の持つ依頼書にはそう書いてある…が、
彼の目の前には強靭な顎を持ち、鋭い爪を持つ茶色の魔物がおよそ2万匹
「…どこが10匹ですか?これ、僕じゃなかったら死んでますよね?」
彼──ことルミア・フィーネは溜め息を吐き出した。フードを目深に被っているため顔は見えないが、その声には呆れが滲み出していた
(さっさと終わらせて、戻りましょう)
「”氷乱月華”」
──────氷属性上級魔法”氷乱月華”《ヒョウランゲッカ》
氷の礫が乱れ飛び、礫のあたった物や魔物、人に月のようにきらめく華を咲かせる魔法である
氷の礫があたった魔物達はその身に一輪の華を咲かせていた
「…一応全て仕留めたみたいですね」
ルミアが指を鳴らすと魔物達は一斉に砕け散る
氷の破片が降り注ぐ様子は幻想的な光景を作り出していた
「帰りますか」
呟いたルミアの姿は既に無かった
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