I am Paul.

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お客さんがいればそっちが優先、ポールの姿を視界の隅に捉えたのであれば、忙しいふりをして店内に逃げ込む。 そんな風にポールを遠ざけていたある日の事_____ 花屋で働く私は店頭で、ポット苗のメンテナンスを行う。日々のルーチンワークだ。 突然、耳元でカメラのシャッター音が聞こえ、振り返る。 ポールが私に向かってデジカメを構え、連写をし続けていた。 「ちょっと、何撮ってるんですか?止めて下さいっ!」 右手をカメラの前にかざし、私もポールの意味不明な行動につい声を荒げてしまった。 「大丈夫、後ろにテレビ局のカメラがいるから」 ポールはヘラヘラ笑いながら、後ろの方を指差す。 もちろん、撮影クルーなんてどこにも見当たらない。 ____何、言ってんの?この人…… 店先で騒いでいたせいか、店の奥からオーナーが何事だと、私の様子を確認しに来た。 「何、撮ってるんだっ!」 ポールの異常な行動に気付いたオーナーが、ポールの手からカメラを取り上げた。 「私、頭がオカシイんです」 「私、頭がオカシイんです」
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