業を背負う者

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少女は前髪で隠した右目をさらして、 「勝った方が正義になる。さて、業を煮やすのはどちらかな」 と微笑んだ、少女を、 「おーい、伊織、高くて降りられないんだったら助けてやろうか?」 と大変、失礼なことを言う少年が一人、金髪に鋭い眼孔、ボロボロのジャージを身にまとう少年は見上げていた。 「ふざけるなよ。山都大聖(ヤマト、タイセイ)この程度で私が怖がるわけないだろ。飛び降りるぞ」 「わかったから、降りてこいよ。さっさとカップラーメン、食おうぜ。久しぶりの豪華な夕食なんだ」 「っ!? それは本当か、もうイヤだぞ。コンビニの売れ残りのコンビニ弁当を漁り、草木を食って腹を下すのは!!」 伊織と呼ばれた少女は電柱の上でグルルルと腹の音を鳴らしながら満面の笑みを浮かべた。どうやら、この二人、かなり苦労しているようである。 「降りてこい」 「すまん、怖くて降りられない、降ろしてくれ」 「登るなっ!!」 ドサッと金髪少年が電柱を蹴り飛ばしたのはその直後のことだった。真夜中の公園にズルズルとカップラーメンを啜る音が響く。伊織と山都に会話はない、久しぶりのご馳走を汁の一滴まで食い尽くすことに執心していた。ごちそうさまと両手を合わせ、山都は聞く 「で、物語の神様よ。本当にここに新しい敵が現れるんだよな?」 物語の神様こと、伊織はフフンと微笑む。 「そうだね、私の勘が正しければ、世界を絶望に叩き込む呪いの化物が五百年の眠りから目覚め、一人の女の子を狙う。君のミッションは、化物を倒し、女の子を救うことだ」 伊織は、その容姿のように、普通の人間ではない。神様、物語の神様で役目は山都大聖という『物語の主人公』の結末を見届けることだ。 「ただし、一筋縄でいくような相手ではない、なぜなら相手は五百年近く憎しみを溜め込んだ化物だ。本気でやらなければ、こっちが殺されてしまうぜ」 「喧嘩はいつだって本気だ。手を抜く奴から殺されるんだ」 「そうなのかい? だったら、後ろから迫る小さな少女に蹴り殺されるぞ」 「あん?」 振り返ると、ランドセルを抱えた小学生くらいの少女がドタドタと走り、山都に向かって突進してきた。下を向いていてこちらには気づいていない。 「『走ってきた女の子とぶつかることで始まる物語』さ。私は高みの見物とさせてもらうよ」 「あ、おいっ!!」 山都の呼びかけるも、伊織の姿はどこにもなかった。少女は
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