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まくしたてるようにして彼はいう。
家から出ていこうとする男を抑え込んだまま。
私は首をひねった。
約束とは、どんな約束だろうか?
「約束?なにそれ?」
「ほら忘れてる。
自分でメッセージ送り付けた癖に、
あの日大聖堂に来ないって考えてみれば、最低じゃない?」
小栗が怒った調子で言った。
すぐに理解した私は反論する。
「行きましたけど?
24時間以上おりましたが?
来なかったのはそっちでしょ?」
「はぁ?
俺はあの大聖堂の展望台で一日中待ってたんですけど?
御蔭で翌日救急車で運ばれて、
死にかけたっていうのに、
来なかったのは佐藤だろ?」
救急車のサイレンの音を聞いた気もしたが、
今更引けない。
小栗が私を睨んだので、負けじと思いっきり睨み返した。
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