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長い長い旅だった。
愛おしいバラの花から離れ、幾何の人々の心に触れた。
それでもなお、皇子は、バラの花を忘れられなかった。
遠い星にやってきても、なお、
枯れぬのは自らの心の中にあるバラへの愛だった。
皇子は、気づいた。
どんなに時が立っても、
遠い場所にいようと、沢山の人々と出会い、幸せを憶えても、
バラを忘れることなどできないと。
愛おしいバラに触れたいと皇子は願った。
星に戻る方法はただ一つ、蛇に噛まれ自らが肉体を放つこと。
皇子は選択する。
バラが待つ星へと戻るために。
そしてようやく叶ったのだ。
あの星へと戻ることが。
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