キスフレ2nd kiss Vol.32(最終話後半)

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「あの、あのその。 看板の意味がよくわからなくって。ごめん!!」 冷たい小栗の言葉に私は思いっきり頭を下げた。 「まじで死にかけたんですけど? 死んでたら呪い殺してたかもな」 もう何を言われても仕方がない。 あの雪の中待っていたという彼に、 なんと言えば許してもらえるのだろうか? 頭をもたげたままの私を、突然抱きしめた。 彼の胸の中に押し込められ、戸惑う。 「いいよ。全部、とけたから」 優しい声が響く。 彼の胸に鼻先を押し付けて、深く息を吸い込む。 大好きな彼の香りがする。 抱きしめるこのぬくもりは、今も変わらなくて、 この胸の鼓動も、変わらない。 『大切なものは眼には見えないんだよ』 私はその言葉を信じられなかった。 大切な愛の形をみたくて、私も彼に見せたいと願った。 でも、ようやくわかった。 その唇に触れなくてもいい、 愛の形がどんなものかも見えなくてもいい 愛の言葉も要らない。 だって、 ずっとずっと前から、 私たちの心には、見えない絆が刻まれている。 天井から降り注ぐステンドグラスの細かいガラスの色が、 床に様々な色合いを乗せていた。 長い絨毯の、その先にいる白い燕服を着た男性が、 ゆっくりと振り返って、私に向けて長い腕を差し伸べる。 ずっと変わらない笑顔がそこにある。 私は一つ頷いて、鐘の鳴り響く世界へと足を踏み入れた。 「キスしよっか?」 彼はつぶやき、瞼を閉じた。 キスフレ2nd kiss 完 (もう一つのラストがこの後に入ります)
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