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四話【13の世界の仕組み】
「由佳里、これはね?こうしてああして……ほら、出来た♪」
「こうしてああして………っ…し、失敗…」
ゲルプと由佳里の二人だけの部屋。
どうやら錬金術の調合の練習をしているようだ。
由佳里は言われた通りやっているが、なぜか失敗してしまう。
「…どうしたらコレを失敗できるんだろう…コレ、錬金術で一番簡単なモノだよ?」
「…私、こういうの苦手なのよ……昔から、料理も苦手だったし………この、調合、っていうの?コレの配分がどうもよく判らないのよね…」
「でもでもっ!コレは基礎中の基礎だから、出来ないと不便だもん。由佳里、もっかいやろっ!」
「えぇ…」
「いい?これをこうして…」
『…なんだか、妹が出来たみたい……』
自分より年下のゲルプを見て、由佳里は何処か心が温かくなっていた。
「で、こうしたら…出来上がり!さ、由佳里もやってみてっ」
「あ、えぇ…。…こうして…こうやって……コレを……」
真剣に調合に取り込む由佳里。
しかし響いたのは爆発音だった。
「…あ……ご、ごめん、ゲルプ…」
「っ…ぅ…うわーんっ!何で何で何で!? 由佳里はちゃんとやってるのにっ…僕の教え方が悪いの?でも、ちゃんと本も見てるし、僕は成功してるし……なのに、何で…っ…!」
ついにゲルプは泣きだしてしまった。
「あ、ゲルプ…泣かないで……私のやり方が、きっと何処か間違ってるんだわ。貴方の所為じゃないんだから…ね?」
由佳里は宥めるように優しく謝罪をする。
尚も泣き続けるゲルプにどうしよう、と考えポケットを漁ってあるモノを見つけるとゲルプに差し出した。
「……これ、あげるから…泣き止んで?ね?ゲルプ…」
「…飴……うん、ありがとう、由佳里っ!僕、泣かないっ!」
「…少し、外の風にあたってくるわ。待っててね、ゲルプ」
「あ、うん。僕、いい子にして待ってるねっ!」
・・・・・
『…コレをこうして…こうやって……』
中庭へやってきた由佳里はまた調合をしていた。
しかし何度やっても爆発音が響くばかり。
由佳里『如何して?如何して、出来ないんだろう……ゲルプがあんなに真剣に教えてくれてるのに…出来ないなんて……私、情けないよ……』
「あれ?田宮…さん…?」
「ゲルプのとこの救世主サマじゃない。こんなところで何してるの?」
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