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開放した紺碧色の小さな竜が藪を飛び越え森の奥へと帰っていくのを見送ると、ルーナは大きく伸びをした。
「あー、お腹すいたぁ」
「お前は年中腹をすかせてるな、ルーナ」
「だって、竜を相手にするってホント、体力使うんだもん」
「今年でもう19になるんだろ?もう少し大人の女らしく振舞ってみたらどうなんだ?」
エリックが笑含みながら言うと、
「うちのおじーちゃんみたいなこと言わないでよね!いーだ!」
と、およそ大人っぽくない口調で舌を突き出し、前を歩き出した。
前を行くルーナの後姿を見ながら、エリックはやれやれと溜息をついた。
まだまだガキだな。ルーナは。
エリックはゆったりと歩きながら、ルーナと出会った日のことを思い出していた。
彼が初めてルーナに出会ったのは二年前。
流れ者のネゴシエータとして、彼女が住むスーラの村に辿り着いた日の午後だった。
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