第二章 動き始めた運命

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その小屋は、「家」と呼ぶにはあまりにも貧相なものだった。 部屋は一室きりだ。 小さな窓際に、頭を寄せ合うように縦列したベッドが二つ。 中央に古ぼけた食卓、 そして椅子が二つ。 すぐ脇には、まるでままごとのような小ぢんまりとした厨房。 見るからに倹しい(つましい)生活をしていることがエリックの手に取るようにわかった。 「ルーナをそこへ。それからここに掛けなさい」 老人は厳しい顔をしたまま顎でベッドの片方を促し、それからテーブルに着いた。 エリックは彼に従い彼女をそっと寝台へ下ろし、それから老人の向かいの椅子に腰を掛けた。
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