第二章 動き始めた運命

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ルーナは深く頭を下げたままぎゅっと目を閉じ、祈るように彼の返事を待った。 しかしエリックは。 「そいつは無理だな」 とあっさりダメ出しをした。 …頭を垂れたままのルーナの肩が、ガクリと脱力する。 「お前は竜の背で気を失った。…それが結果だ。…わかるな」 「竜の背に乗った!?…アンタ!なんちゅう危険なことを!」 いまや老人はエリックが正真正銘のネゴシエータだという判断を下したであろうが、その彼のネゴシエータとしての言葉に動揺した。 再びゆっくりと顔を上げたルーナは、諦めの表情などではなかった。 「上手くできなくてごめんなさい。…でも努力します!人の何倍も努力して、いつか必ずあなたの目に適います!!だから!!」 エリックも内心圧倒されるほどの、縋るような強い目だった。 センティネルも話していた通り、やはりこの娘はよほどの覚悟を持っている。 エリックが黙っていると、老人が声を震わせながらルーナに問うた。 「ルーナ。何故じゃ。何故そんなにまでして竜使いになる事を望むんじゃ!」 「ごめんね、おじいちゃん」 悲愴な声でそう問う老人にルーナの心が痛んだ。 がしかし。 「おじいちゃんが、あたしを竜の世界に関わらせたくないんだって、ずっと知ってた。でもあたしこのままじゃダメなの!おじいちゃんに何も恩返しができないまま、…自分の事、何も分からないまま終わりたくない!」 ルーナのその答えに老人の顔色が一変した。 「ルーナ。…ま、まさかお前…」 エリックと向き合ったままのルーナの大きな瞳に涙が溢れていた。 やがて寂しげな笑顔が紡がれ、言った。 「ごめんね。ずっと知ってたの」 ルーナは老人の方へは目を合わさず、意を決するように息を吸い込み、静かにその言葉を放った。 「あたしが、本当はおじいちゃんの孫じゃないって事」
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