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そうだったのか。
エリックは自分の思考を掠めて行った数々の疑問に合点がいった。
過去ネゴシエータを語る卑劣な男に近づき襲われかけた、このルーナという娘。
にもかかわらず、わずか二ヶ月の後に同じように現れた、別のネゴシエータである自分に、果敢にも再び弟子入りを申し入れてきたこと。
また同じ目に遭うかもしれないという恐怖に打ち勝つために、男装してまで乗り込んできたのに違いない。
そうまでして竜使いになりたいのは。─────
森の中で、白銀竜センティネルを目の前で見た時のあのルーナの反応…
「初めてか?…竜を見るのは」
と問うた自分に、ぼんやりと夢見るように、
「…どうかな、…たぶん…、」
と答えた。
おそらくこの娘は、「自らの運命」そのものに呼ばれて、俺の前に立ったのだ。
それは、
人と竜をつなぐ何らかの、宿命のようなものなんだろうか。────
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