第一章 竜と人

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暴れる竜の背中で、余裕綽々に微笑んでいるその人物。 ブルネットの髪をひとつに束ね、くるりと出した耳には金色のピアスが輝いていた。 腰のホルスターに短剣や鞭が提げられていて、竜が暴れる度にぶつかってガチャガチャと騒がしい音を立てた。 きれいな翡翠色の瞳が不敵に輝く。 「ほら!おとなしくなさいったら!」 遠目に見たら見間違うだろうが、驚くことにそれは一人の少女だった。 彼女は素早く腰のホルスターから鞭を取り出し、瞬く間に竜の首に巻きつけた。 慣れた手つきでその両端をぐいっと引っ張ると、竜は嘶く馬のように首を反らし、それからピタリと暴れるのをやめた。 フウフウとまだ息を荒げる竜の首を「いい子ね」と軽く叩き、彼女はストンと身軽に地面に飛び降りた。 少し汗をはらんだ顔を上げると藪の方へ眩しい笑顔を投げた。 「どう?見てた!?エリック!」
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