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「よーし。今日の捕獲練習は終わりだ」
エリックはルーナに歩み寄り、捕らえた紺碧色の鹿ほどの大きさの竜の背中をポンポンと叩いた。
「こいつ、どうする?連れて帰って売るか?」
エリックが尋ねると、
「ダメよ!」
と慌てて首を振った。
「まだ子供の竜よ?町に連れて帰ったって、役立たずって言われて見世物にされるだけだわ」
「でも、いい金にはなるぞ」
竜の首に回したロープを解き、踵を返すとルーナはエリックをきっと睨んだ。
「本気で言ってるの?エリック」
蔑むような瞳に、エリックは思わず肩を竦めた。
無論冗談で言ったのだが。
エリックは、時折彼女が見せるルーナのこの正義に満ちた瞳の輝きについたじろいでしまう。
「分かったよ。お前の獲物だ。お前の好きにするがいいさ」
苦笑するエリックに、ルーナは満面の笑みで頷いた。
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