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LSTは此の艦を曳航する為減速し、交代の駆逐艦が速度を上げ始めた。
その時、見張り員の1人が警告の声を発する。
「右舷から、TONYが突っ込んでくるぞ」
艦長が右舷を見る、交代の駆逐艦に向けて、爆装した1機の戦闘機が、上甲板ギリギリの高さを低空飛行し、突入しようとしていた。
交代の駆逐艦は対空砲火を浴びせると共に、取り舵の操船を行っている。
戦闘機は突入の瞬間、翼下の爆弾2発を駆逐艦に投下し、急上昇した。
投下された爆弾の1発は煙突に、もう1発は操舵室に飛び込み炸裂。
操舵室に飛び込んだ爆弾により、艦長等が戦死したか負傷し指示が出ないまま、駆逐艦は取り舵を続けた。
必死にかわそうとするLSTの横腹に、駆逐艦は轟音を響かせ接触。接触しながらすれ違った後、ようやく命令が伝わったのか駆逐艦が減速し始める。
一方の戦闘機は4千メートルから5千メートルまで上昇。
そこで、大きな円を描いたり八の字飛行をして楽しげに5~6分飛んだ後。
雲の中に消えたが、1分程して雲の中から出現すると、黒煙を上げて減速している駆逐艦に向けて急降下を始めた。
3隻の艦艇が対空砲火を雨霰と打ち上げ、狙われた駆逐艦が必死にかわそうとするのを無視して。
戦闘機は何の躊躇を見せずに、黒煙を噴き上げる煙突に突入。
これが交代の駆逐艦のトドメとなり、駆逐艦は急速に沈没を始める。LSTの方も艦艇の横腹に穴が空き、沈没も時間の問題であった。
「ボートを下ろして全員救助だ、あと艦隊司令部に交代の船と曳航船を早く寄越せと連絡しろ」
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