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人の流れが速い
その流れに飲み込まれてしまいそうな自分が
遠くから見えた気がした
忙しなく動く沢山の靴
それに蹴られて
悲しく雑踏の中を舞った花びらは
幻のように消えていた
いつからこの忙しない雑踏の中に立ち竦んでいるのだろう
淡い薄紅が人々に悲しいほど蹴られ踏みにじられ
そして消えてしまったのは何時なのか
もう 何もない足元を見て幻の影を捜した
灰色の何もない地面に
ひとつ ふたつ 暗いしみが出来ていく
これは私の涙?
空を仰ぐと冷たい滴が瞼をほとほとと優しく叩いた
木々達が濃い緑に染められていく
そして 木々達は 嬉しそうに騒いだ
…もう 花びらなんかない
…もう 消え去っていたんだ
世界は 動いていた
それに気付かなくて ずっと地面を見つめて
影を捜そうと必死に 俯いていたんだ
柔かな雨に 溺れようと思った
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