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蓄積されています。たとえ、貴女がいなくても僕は未来を救うことができる』
『はっきり言ったらどうなんだ。英雄になりたいと、地球を救うヒーローになりたいと』
『僕はそんな者になるつもりはありません。さよなら、教授』
ブツと通信が途切れ、宇宙船が発射していく。用意周到だった。反撃する暇すら与えてもらえない。天国だった宇宙が一転して地獄に変わる。宇宙服に内蔵された酸素が尽きた時が私の命のつきる瞬間だった。
『まさにクドリャフカだ』
私は両手を広げて笑った。死ぬのは怖くないけれど、他人の事情で実験に使われ、殺されるのは胸が少しチクリと痛んだ。クドリャフカも、そんな気分だったのかな。怖くなかったのかな。コシューと酸素が少しずつ減っていきのを感じる。諦めて、少しでも網膜に地球を焼き付けてやろうと、見上げていた。
夢は叶った。それでいい、私は胸、いっぱいに酸素を吸い込み、青色の宇宙を忘れないように見つめて地球をベッドに眠りについた。できれば地球が救われますようにと願いながらまぶたを閉じた。
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