第1章

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多摩センター駅に着いた。まっすぐ家に帰ろうと思っていたが、マサルは声をかけられた。  太一だった。 「またライブやろうよ」  そんなことを太一が言っているが仕事はどうしたのだろう。酒の香りのする気が。 「確かに酒の入ったグラスを洗ったけど。仕事だよ。飲んではいない。鼻が良いな。匂いがよく分かるな。犬か?」  「イヌって呼ばないでください。小学生時代にイヌと呼ばれていじめられていたので、思い出してしまいます」 「そんなトラウマ話は小説に書いたらボツだ。失敗作だ。文学賞に応募しても落とされるぞ。捨てられるぞ」
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