第1章

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なんでも狙われるのは法学部志望の子供たちばかりだとか。 息子の孝太も法学部志望。 やだ、心配。とっても心配。 「孝太、この子とはお友達だったの?」 私の問いかけに、「別に」と孝太。 「みんなライバルだよ。友達になんかなりゃしない」 ぶっきらぼうにいい放つと、孝太は行ってきますも言わずに出ていってしまった。 不妊治療の末できた一人息子の孝太は私の宝物で自慢の種。小さい頃はあんなにママママとまとわりついたものなのに、成長するにつれて口をきいてくれなくなった。最近じゃ、あの子が何を考えているのか、よくわからない。 さっきだって、同じ教室で学ぶ子が次々襲われてると言うのに、少しも動揺しなかった。 私は、時々あの子が怖い。
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