第1章

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私の心の中に燻り始めた、ちりちりとした不安。 正直、気づかなかったわけじゃない。藤波予備校生襲撃事件以来あの子の様子がなんだかおかしなことに。 でも、私は自分に言い聞かせてきた。 そんなわけがないと。 私はシャツを漂白剤につけると、洗濯機を回した。頭の中もぐるぐる回っている。 鼻孔にいつまでも残っている血の生臭い匂いに目眩がしたが、それでも、自分を奮い立たせた。
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