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「小学校の頃僕をいじめた太一君を線路から突き飛ばしたのも、泳げない僕をみんなの前で笑い者にした担任の車に細工したのも、僕をふった本田さんの顔に変質者のふりをして硫酸をかけたのも、そして、今回、僕のライバルたちを襲ったのも、みんな、みんな、母さんの仕業だったんだね」
久しぶりに見る孝太の泣き出しそうな顔に胸を締め付けられる反面、まだまだこの子は子供だったのだと嬉しくも思う。
やはり、私がいなければだめなのだ。
「ねぇ、母さん。どうして?」
孝太がすがるように尋ねる。
どうして?
そんなの決まってるじゃない。
心配だったんだもの。あなたのことが。
とっても、とっても、心配だったのよ。
私は何年ぶりかに孝太を抱きしめた。
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