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俺は恋愛対象に、男がなるかってことだけど…。
…ならない、いや!ならないっ!
ん?…待てよ。
つまり冬原は今まで男を好きになって男と付き合った経験が…?
「お前、男と付き合ったこと、あんの?」
さっきから突き刺さるようだった視線がなくなり冬原も前を向いたようだ。
すこしだけ変なプレッシャーがなくなり、ほっとする。
「それは…ない」
「けど、その…バイってことは、好きになったことは今まであるって、ことだよな?」
「まぁ、ある…。
けど、片想いで終わってた。
…告白とか、なかったし」
「え、え?
じゃ、なんで、今俺には言ったわけっ?」
なんで!今、俺に限って?!
ぐるんっと冬原へ振り向くと、今度こそがっちり視線が絡んでしまった。
思ったよりも近くないか、この距離…。
さっきまで気にしなかったのに、突然気になるそのスポーツバック一つ分の距離。
「それは…」
すっと一瞬下へ流れた視線はすぐに戻り、先ほどより強い意思の灯る瞳で俺を見据える。
「お前なら、気持ち悪がらずに…バカにせずに聞いてくれると思ったんだ…」
「な、なんで…」
「お前、今…俺のことキモいか?」
「き、キモいとかは…ないけど…」
ない、けど…。
「すげー、驚いてる……うん」
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