おまけ -春はあけぼの-

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そ、そうだけど…。 そうだけど……。 ……。 「……キスしてもいーか?」 「なにそれ、突然すぎなんだけど」 ちゅっ 「………。って、はぁ?!」 「いやだから!なんでそんな驚くの! お前が言ったんだろってば!」 ちょちょちょ、ちょっと待て、ちょっと待て。 なんで、今…お前がキスして…、 あれ? …これ、こんな展開…なにこれ? もっと、こう、否定されて。 めっちゃ説明して、がんばって。 それでキモいって言われたら、諦めて…、そんで…。 って、俺の想定していた場面は全くやってきてないし…。 え? これ。なんて返せばいーやつなんだっけ? 「春村、顔あげて」 俺はこんがらがったまま、声に従って抱えていた頭を上げた。 「んっ…」 唇に柔らかい感触が伝わる。 共にふわりと、カルピスソーダの甘い香りがする。 「……まっ、ん…」 一瞬柔らかな感覚が離れたかと思うと、角度を替えてもう一度触れた。 顎に添えられた指先と、唇。 すぐ近くに感じる体温。 ちょっ…まて、これ…やばい…。
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