-1-

2/12
561人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
いーい天気だなぁー…。 俺、夏川優斗は背中を反らし、天を仰いでみた。 本日快晴。 心地よい春風が頬を撫でて行く、そんな一日の終わり。 そろそろ太陽がオレンジ色に変わろうかとしている頃だった。 「春だなー。おい」 自分と同じように、土手の柔らかい草の上に腰を下ろした、冬原竜也を振り向いた。 「……だな」 いつもと変わらないシンプルな返事を聞いてまた天を仰ぐ。 春だなぁー。平和だわぁー。 なぜ男二人で、学校の帰り道の土手でぼーっと空やら川やらを眺める羽目になっているのか。 それはこの冬原の一言によるものだった。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!