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「……なー」
「あー?」
いつもと同じようにだらだらと帰路に向かう途中。
「ちょっとそこで一休みしてかね?」
「あ?……いーけど、べつに」
いつも俺の話に同じような相槌をするだけの冬原が、珍しく提案をしてきた。
珍しーな…疲れてんのかな?
「んじゃ、この辺座っとく?」
「おー」
そして、今に至る。
時折土手の下の川縁に植えられた、桜の木の花びらがこちらにまで漂ってくる。
目の前を横切ってくそれを目で追っていったその時だった。
「…俺さ、今から大事な話するわ」
「お?…え?大事?」
「……逃げんなよ」
「は?」
「だから。逃げんなよ」
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