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いや、つーかそこじゃなくね? どーすんの? 俺なんて返せばいーわけ、これ! 「え、えー、っと……。 俺は…お前のことは好きだけど…そ、それは…男友達としてって意味だし…」 「うん」 「ライクってほーだし…」 「うん」 「俺、女の子好きだし…」 「…うん」 「………」 そよそよと流れる川の音が静かに聞こえていたはずなのに。 耳のなかで、なぜか激しく鳴る心臓の音が川の音を完全にかき消していた。 そっと横目で冬原の顔を伺ってみるが、やはり変わらず無表情だ。 あれ? ほんとに今、好きって言われたんだよな俺。 実は嘘? 幻か?幻聴か? 「…嘘?」 「いや、ほんと」 「……。 どっきり?」 「いや、まじ」 「……。 罰ゲーム、とか?」 「……だったら、こんなこと言わねーよ」 あ、だ…だよな。 「そんな罰ゲームとか…おもしろくねーもんな…」 「…いや、つーか。 ほんとに好きな奴に、そんな理由で好きとか言わねーし、俺」 ……。
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