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何あっつくなってんの?俺のかお!
いや、これあれだよ、ほら。
好き、とかそんな言葉かけられたから、なんか、慣れてないしそんなの。
どきどきとかしてんのも、それ!慣れてない、それだけ。
…つーか、なんでそんなお前冷静なの?
俺が動揺しすぎなの?俺が経験浅いだけなの?そーなの?
「って、いつまで握ってんのこれ…」
「……え」
言われた通り座ったというのに、ずっと握られっぱなしの俺のシャツは、すでに不自然なシワをしっかり刻み込んでいた。
離そうとして冬原の腕を掴んだ。
「え、ちょ…。
なんで震えてんの?」
「………」
冬原の俺より太い手首を掴んだその時、俺に伝わってきたのは微かな震えだった。
冬原がシャツからパッと手を離したと同時に、俺の手も冬原の腕からパッと離れた。
「………」
「………」
「緊張……してる、から」
「えっ」
自らの手のひらを眺めながらボソリと呟く冬原。
俺よりも低いその声は、いつもよりさらに低く響いた気がした。
手のひらから、ゆっくりと顔をあげ、俺を見た。
その一部始終を見ていた俺と視線が絡む。
先ほど一瞬合ったのとは違い、今度はしっかりと目が合う。
うっ
その視線を受けとめてすぐに、俺はパッとまた川へと視線を移し、その瞳から逃れてしまった。
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