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「…俺、お前が好きだ」 「さ、さっき言ったろーが、それ」 俺は視界の端でこちらを見つめてくる視線を感じながら、ただただ川を見つめる。 これ、この空気どーすればいいわけ! こ、告白されてんだよな、これ。 ってことは、その先は…付き合うとか付き合わないとか、そーいう話…? 「ふ、冬原は、それで…どーしたいってこと? つまり…俺とつ、付き合うとかそーいうの…」 「…まぁ…、できれば」 まぁ、できればって、それ…。 「付き合うとか無理、だと思う…んだけど」 「…うん、わかってる」 「……男、だし。俺もお前も…」 「うん」 …じゃ、なに? この変な告白劇はなに? どこに行きつきゃいーの! 「じゃ、な、なんでこんなこと…」 「……。 知っていてほしかった……。俺がお前のこと好きだって」 さっきから好き好き言い過ぎなんだけど、こいつ。 てか、そのたびに変に跳ねてる俺の心臓、うざい! 「…俺のこと、見てほしかった…から」 「そ、そーいう対象にって?」 「うん」 「そ、そんな…」 こと、言われても。 俺、男だし、冬原も男だし。 今まで気楽な男友達としか見てなかったし。 「友達としてしか、見てなかったろ。お前」 俺の心の声が聞こえたような間合いだった。 「そりゃ、まぁ…」 「だから…」
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