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「……ランナって読むんじゃない。ラナって読むんだよ。そう、あたしの名前さ。まあ、本名じゃないけどね」
そう言いながら、蘭奈さんは新しいタバコに火をつけた。
YUKIのおかげで、気まずい雰囲気が多少崩れた。言うなら今しかない。
「生意気言ってすみません。蘭奈さんの言うとおりです。ただ、もっとそれっぽいところを想像していたもので……」
蘭奈さんが鼻で笑った。
「ふん。漫画やアニメの見過ぎだね。現実はこんなもんさ。いいから、その呪いとやらを見せてみな」
おれは右手を蘭奈さんの方へ差し出した。
「これは……蟲毒の一種だね。だいたい、2週間で死に至るってとこかね?」
おれは驚いてYUKIを見た。YUKIも驚いて目を丸くしている。
一目見ただけで呪いの期限を言い当てるなんて、さすがと言うべきか。
「こんなの、ちょっと呪術をかじってる人間なら、見てすぐにわかるさ」
蘭奈さんが驚いているおれたち二人を見て言った。
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