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幸いにも、ドアが開く前にその車両の前へと移動できた。
しかもおれの他に並んでいる人間はいない。
ドアが開くと同時に、その車両に飛び込んだ。
その瞬間、この車両が空いている原因に気がつく。
冷房の効いた冷たい空気と一緒に漂う悪臭。ドブ川のヘドロのような臭いが車両の中に充満していた。
まあ、何かあるとは思っていたし、覚悟もしていた。寝てしまえば、悪臭もそんなに気にならないだろう。
そう思いながら、一番空いている座席に座った。
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