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朝はだるい。最近いつもそうだ。それはもしかしたら、真夜中の2時を過ぎるまでベッドに入らないせいかもしれないし、毎晩同じ悪夢を見るせいかもしれない。
私は、今朝も顔をしかめながら、コーヒーをら飲んでいた。その時、ぼんやりとした視界に飛び込んできたのが、新聞紙上の〈ボーフォートン氏〉という言葉である。
「何が、ボーフォートン氏だ。独善主義の見栄っ張り野郎が。宇宙人を退治することのリスクをちゃんと計算して、宣言しているのか?」
やれやれと首を振る。そして、ふと今日見た夢を思い浮かべる。壮絶的な爆発音。灰色の生き物の死。その後、訪れるのは、平和などではない。人と人が殺し合う狂気の世界だ。
そんなことなりはしない。そう思う。しかし、頭のどこかでは、悪夢が現実になる日は、いずれ来ると分かっていた。
何が出来ると言うのだ?この私に。
日1日ごとに増す不安に対して何度もしたこの質問を今日もまた唱えてみる。
私はただのユング心理学者、ローファ・ルバイアースという名の人間。自分の無意識が見せる夢に惑わされ、現在ここに存在している。
ただそれだけだ。
ダイヤモンド・ガラスの外で走るハイビックスーーガソリンや電池を使わない、ノーエネルギーで走る車ーーが、物凄い速さで通り過ぎていく。ぼんやりとしばらくそれを見つめ続けた後、私は3DTVのスイッチを押した。一瞬低いノイズが入り、部屋の中央にーー何と言うことであろうーー例のボーフォートン氏が現れる。
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