第2話

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「先生って大学生?」 「うん。大2」 ってことは、20歳、か。 スーツ姿のせいで25歳くらいに見えちゃってたけど 「意外に若かったんですね」 「はは、それ超失礼」 「すみません…」 それでも、3つ上だ。 三年間に経験できることは、計り知れない。 だから周りには気付かないことを、察するのかもしれない。 だからこんなにも、…大人に、映るのかもしれない。 「てか前から気になってたんだけど、なんで"先生"?」 「は?」 「や、先生っちゃ先生なんだけど。呼び慣れてないから変な感じ」 「ああ…」 呼び方、か。 …それには、実は理由がある。 小学校何年の時だったか、クラスでモルモットを飼っていた時期があった。 しかしあたしはそのモルモット(正確にはネズミ類)が大嫌いで大嫌いで、見るだけが鳥肌が立つくらいに大嫌いだった。 そのモルモットの名前こそが、"なぎちゃん"。 最初の頃は朱美が先生のことを話す度に、過敏に反応していたが最近ようやく慣れてきたところである。 それゆえにその名を口にしないまま、現在に至るというわけだ。
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