第2話

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「わ」 唐突な声に振り向くと、先生は空を仰いでる。 何があるんだと、釣られて見上げると。 ………あ。 「ここ、星見えるね」 「…みたいですね」 果てしない夜空に、薄っすらと。 消えそうな蛍火みたく、弱々しい煌めきが無数に散らばっている。 「星って一番輝く時が爆発して消滅する時なんだよね?小さい頃、なんかの本で読んだだけだからうろ覚えだけど」 「全部の星が、ってわけじゃないよ。中には寿命がきたらゆっくり煙みたいになって宇宙に拡散するタイプもあるし」 「…先生って天文学部?」 なんでそんなに詳しいの? それともあたしが無知なだけ? 「違うよ。オレも昔同じようなこと疑問に思って、調べたことあるだけ。なんで光ってるのかとかね」 「燃えてるからじゃなくて?」 「そうっちゃそうなんだけど、ちょっと違うんだな、これが」 「じゃ、なに?」 「核融合反応」 「えっ…爆発してんの?」 「そう。オレ達が見えてるほとんどの星って恒星でしょ」 「うん、それは知ってる」 「その中身のほとんどが水素。超高温でヘリウムに変わった時に発生する熱と光が星の煌めきの本当の正体なんだけど……って何熱く語ってんの、オレ」 自分でツッコミを入れた彼は、ゴホンと咳払いをした。
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