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「…笑ってるよ、普通に」
「はは、それもそうだね」
食べ終わったお弁当の箱を袋に入れている先生を見れずにいた。
手の中でおいなりを包んでいたビニールを握りしめて、変な落ち着きのなさを覚える。
「ほい」
太腿の上に、ぽんと置かれたヒビットカラーの袋キャンディー。
期間限定と赤い文字で書かれた下に、桃の写真が載っている。
「?」
「勉強前の糖分補給は大切だよ?中間テスト期待してるんだから」
「それ、すこいプレッシャーなんだけど」
「ははは」
…貰って、いいのかな。
コンビ二でも奢ってもらったのに。
「…"ソレ"食べてるとこ、また見せてね」
「は? なんで?」
「なんでも」
太ももに頬つえをついてる彼は、意味ありげに目を細める。
何がなんだかよく分からなかったけれど、とりあえずは頷いておいた。
差し出された袋にぎゅうぎゅうになった包装紙を入れると、先生は「さて、帰りますか」と言って立ち上がった。
「家、ここから近いんだっけ?」
「うん、すぐそこだから。……今日はありがとうございました」
照れ臭くて俯いたあたしは、"いいえ"とか"気にしないで"とか、彼からそういう返答が返ってくるものだとばかりに予期していた。
しかしコンクリートに落ちていた自分の影に、もう一つの影が急速に近づいてくる、のを尻目で捕らえて。
「お礼ってそれだけ?」
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