第3話

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「浮気だよ?!浮気!最悪すぎだしっ!」 中庭でお弁当を食すあたしの隣で、脚をジタバタさせる彼女は一年で同じクラスだった早苗(さなえ)。 昨夜、彼氏のLINEを盗み見してしまい、そこで他校の女子を口説いている内容のものを発見してしまったという。 「…でも連絡とってただけなんでしょ?」 「それにしたって"気になってる"とかあり得なくない?!」 本当に、ごもっともな憤りである。 しかしあたしにこうして愚痴を言いに来たということは、別れたくない証拠。 つまるところ、慰めとフォローを欲しているのだ。 「確かに先輩がしたことは悪いよ。でもよく聞くじゃない、毎日カツ丼食べてたらカレーも食べたくなるとか。興味を持つのは仕方ないことだし、早苗だってしょっちゅう誰々がカッコいいとか言うじゃない」 「それとこれはっ」 「そう変わんないって。先輩は行動に移しちゃっただけの話で。実際何かしたわけじゃないし、今めちゃくちゃ謝って来てるんでしょ?」 女子は何よりも"共感"と"肯定"と"愛され感"を得たい生き物。 いつからか自然に悟ったその理に従い、それを忠実に履行し言葉を選んでいく。
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