第11章

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「…まぁ。そうだけどさ。侑李見てたら辛いのよね。誰も愛そうとしない。誰かに愛されようとしない。悲しいじゃない。大切な親友が本当の愛を求めないまま一生過ごすって事はさ。悲しいよ。侑李。」  じっと私を見て話す渚に胸が熱くなった。 『…ん。ごめん。そうだね。…渚。今夜、うちに来ない?少し話あるんだ。話って言っても相談なんだけど。』 直への気持ちを渚に相談しよう。 親友だから。 渚は本気で私を心配してくれる唯一の親友だから。 「ん。分かった。バイト終わったら連絡して。久しぶりに侑李と呑もうかな。ねっ?」 そう言って笑う渚に心からありがとうって伝えたい。 『ありがとう。渚。大好き。』 ニッコリ笑って言うと 「私も大好きよ。侑李。あっ。将太の次にだけど。」 笑って言う渚。 『松田君に負けたの?私。』 笑って言う私。 何か忘れた。こういうの。 高校の頃はお互い支え合って過ごした親友。 泣く時も笑う時も怒る時も悲しむ時も常に一緒で。 たまに喧嘩をしたり仲直りしたり。 きっと渚には本音が言える。 そんな気がした。
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