第11章

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「知ってるも何も。凄く有名なホストじゃない。凄く良い男なのよね。何か前に雑誌で見たことある。」 話がずれてきてますけど?渚さん。 『へぇ~。そんなに有名なんだ。全然知らなかった。そんな人なら尚更無理だね。もういいや。何も考えない事にした。』 何か考えるのが面倒になってきた。 「出たよ!侑李のめんどくさがり。恋愛で面倒になる?普通。今、悩んでたよね?だったら結論出るまで悩め!途中でやめるな!侑李さ。本当に次に進まなきゃ。逃げてばっかじゃダメになっちゃうよ。あの人の事はもう5年前の事じゃない。それに、あの人はもう…」 『やめて!口に出して言わないで!5年前でも私の中にはあの人がまだ居るのよ!あの頃のまま私の中に居るのよ!…ずっとずっと消えないの…。聞きたいこと沢山あったのに…言いたいことも沢山あって…それなのに…』 ダメだ。 思い出したら止まらなくなる。 「…ごめん。侑李。もう言わないから。ごめん。」 渚はそう言って私を抱き締めて髪を撫でてくれた。 昔の事は思い出したくない。 でも、私の中では消えなくて。 過去の想いに私はいつまで縛られて生きていくんだろう。 またそう思ってしまうのも直と出逢ってしまったからなんだ。
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