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「あっ。時間無いわ。ごめん。侑李。また明日ね。」
そう言って手を上げ走って行く渚の後ろ姿に軽く手を振った。
恋愛イコール結婚って、この間は言ってたのに。
恋愛と結婚に対する女の努力は違う訳ね。
私にはよく分からないけど。
何て考えて大学の校外へ足を一歩踏み出した時だった。
「榊侑李。」
突然。横から名前を呼ばれ振り返った。
……誰。
そこには見知らぬ男。
「夕べはど~も。」
夕べ?
「おいおい。覚えて無いとか言うなよ?」
夕べはファミレスでご飯食べて帰って寝たけど。
『……えっ?あんた誰?』
どう考えても身に覚えがない。
人違い…じゃないよな。
私の名前をフルネームで呼んだし。
「…おまえ…本当、最悪な。」
あー。その言葉で何となく分かった。
でもさ
『…何であんたがここに居る訳?』
ってか、何で私の名前を……。
あー。舞か。
昼間のあの態度の意味をここで初めて理解した。
あのバカ舞。
大学も名前まで教えやがって。
2度と会うことは無いと思っていたのに。
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