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「思い出したみたいですね?榊侑李さん。」
……ムカつく。
やっぱりムカつくこの男。
『私、今からバイトだから。暇じゃ無いんで。さようなら。』
相手にしないほうがいいだろうと、歩く足を進めた。
が、腕を掴まれた。
『…離してくれます?バイトに遅れてしまうんで。』
立ち止まり睨み付けると
「俺が今日のバイト代は払うから。ちょっと付き合えよ。」
はっ?
『…あんたバカでしょ。何であんたにバイト代払ってもらわなきゃいけない訳?バカにするのもいい加減にしてくれない?ホストだか何だか知らないけど。言ったわよね?私はあんたみたいなのが一番嫌いだって。分かったら手離してよ。』
あまりにも人をバカにしたような物の言い方に兄貴とダブって尚更腹が立った。
「悪い。そういうつもりで言ったんじゃなくて。少し話がしたかっただけだ。」
……何、急に。
『バイトは休めない。私、ずっとバイトしてるから。悪いけどあんたと話す暇はこれっぽっちも無いから。夕べの事は謝る。私もやり過ぎた。ごめんなさい。じゃあ。』
緩んだ手を振りほどき足早にその場を去った。
何か最悪な日だわ。今日は。
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