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「侑李。そんな事言うなよ。俺、お前と別れたくないんだよ。なぁ。今まで通り会おう。」
私の手を取りギュッと握り締める雅司。
『雅司さ。よく考えなよ。何で私がこういう関係でいいって言ったと思う?』
「…俺の事、好きになったからじゃないの?」
『違う。好きか嫌いかで言えば、雅司の事は好きよ。でもね。私が一番じゃなくてもいいって言うのはね。雅司みたいな男を沢山見てきたからよ。男が信じられないから。男はこうやって平気で浮気するのよ。それなら初めから彼女居るの分かってた方が利口でしょ?彼氏を信じてて浮気されて。それで辛い思いするのは絶対に嫌なのよ。私は本気にはならないの。だから、冷めやすいのよ。こういう関係になってから彼女と一緒に居る姿を見ると冷めちゃうのよね。もう雅司とは終わり。』
引き際は肝心なのよ。
雅司の手をそっと解いてドアに手をかけた。
「…侑李。」
私を抱き締めてきた雅司にため息をつく。
『雅司。こういう関係はね。いつか終わるのよ。言ったでしょ?雅司だって分かってたはずよ。彼女、大切にしてあげなよ。楽しかったよ。バイバイ。』
そっと身体を離した雅司を押し出すように扉の外へと出した。
はぁ~。疲れる。
部屋へと入り冷蔵庫にお酒を入れた。
直ぐにでも呑みたい気分だけど、さすがにシャワー位は浴びよう。
2番目だとしても、それなりに別れは堪える訳で。
あのホストの事といい、雅司の事といい。
何だか今日は疲れた。
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