第5章

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黙るとこっちを見てニヤリと嫌な笑みを浮かべやがった。 ……マジ、ムカつく。 拳を握り締め運転しているホストの脇腹に思いっきり拳を叩き込んだ。 「ッグッ!……ってぇなっ!あぶねぇだろっ!お前、バカじゃねぇか!?」 一瞬、車がぐらついた。 『バカだから降ろしてよ。バイト遅れるんだけど。あんたさ。これって何て言うか知ってる?拉致よ。拉致。』 犯罪だよ。 「アホか。拉致られた奴が冷静に脇腹に拳食らわすか?有り得ねぇわ。」 『もうさ。何でもいいから。早く車止めてよ。あんたと遊んでる暇はないのよ。私は。』 もういいや。 相手するの疲れた。 「何処だよ。バイト先。送ってく。」 はい? 『…訳分からない。何であんたに送ってもらわなきゃいけないわけ?』 「へぇ~。じゃ、遅れてもいいんだな。バイト。」 またにやけやがった。 時計を見るとバイトの時間ギリギリだった。 ……くそっ。腹立つ。 でも、仕方ない。 バイトに遅れる訳にはいかない。 皆勤が無くなればバイト代が減る! 背に腹はかえられない! 『……そこ右…』 で、結局バイト先までの道を言うはめになった。 ……悔しいんですけど。
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