第5章

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地獄の様な時間が、一時間半程過ぎた頃ようやくホストがレジに来た。 「いくら?」 『…4350円になります。』 あれから何かにつけて私を呼び出し、色々と質問してきたホスト。 それを見ていた先輩が、あそこのテーブルは榊さん担当ね。とか言い出しやがって。 何度殴ろうかと思った事か。 「何時まで?バイト。」 一万円札を出しながらホストが聞いてきた。 『5650円のお返しです。有難うございました。』 質問を無視してお釣りを差し出す。 「無視すんな。」 差し出した手を掴まれた。 『早く仕事行きなさいよ。ほらっ。皆、待ってるわよ。』 店の扉前に待っているその他ホスト達。 「じゃ、何時まで?」 …しつこい。 『…11時。』 後ろに他の客が待っているのを見て仕方なしに答えた。 「11時な。迎えに来るから、また後で。じゃあな。榊侑李。」 にこやかに手をあげて外へ出ていくホスト。 ……迎え?何で? って!おいっ! 『…っちょっと!お釣…』 手には受け取ってもらっていないお釣がそのまま。 「お会計いいですか?」 しまった!次の客が居たんだった。 『あっ!はいっ。すいません。どうぞ。』
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