第6章

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「お前から金取ろうとか思ってねぇし。」 腕を掴まれたまま言われる。 『あっ。そう言えば。あんた、お釣受け取ってなかったわよ。ちょっと待って。預かってるから。』 バックの中を漁ると 「要らねぇから。そんな事はどうでもいいからよ。さっきの返事はどうなんだよ。」 バックを漁っていた手も握られた。 『返事って。さっきも言ったでしょ?他の女にして下さい。手を離してもらえませんか?』 「俺はお前がいいんだよ。俺の女になれよ。」 『バカも休み休み言いなさいよ。」 「本気なんだけど。」 『じゃ、断る。私、誰かの彼女にはならないから。知ってる?1番より2番の方がいいって。彼女になって嫉妬とか浮気の心配とかするより、2番だって分かって後腐れなく過ごす方が楽なのよ?だから、私は誰のものにもなりません。そう言う事だから。手離して。』 言えば両手を離したホスト。 「俺はお前を2番にしたいとか思わねぇ。俺の1番になれよ。」 ……有り得ないから。 『まず、ホストとか2番でも無理。って言うかホスト自体受け付けない。じゃあね。送ってくれてありがと。ホスト君。』 ドアを開き降りようとすると 「俺、諦めねぇから。それと、俺はホスト君じゃねぇ。直。香月直(かづき なお)。今日は帰るけど。また来る。だから、考えとけよ。榊侑李。」 『…フルネームで呼ぶな。って言うか、有り得ないから。来るだけ無駄よ。じゃね。おやすみ。』 言って車から降りてドアを閉めた。
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