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「侑李。後ろ向いて。」
突然、訳の分からない事を言いやがる。
『…何でよ。』
「ほらっ。あっちで店長のおっさんが睨んでる。」
ゲッ!?マジか?!
昨日、こいつとのレジでの事で注意されたばかりなのに。
バッと振り返ると
「持ってるじゃん。借りるな。」
はっ?!
ズボンの後ろポケットに入れていたスマホを勝手に取り操作し出すホスト直。
『っちょっと!何勝手に!』
思わず叫ぶと、カウンターの奥から咳払いが聞こえた。
……ヤバい。マスターだ。
その間に私のスマホから自分のスマホに電話をかけやがったホスト直。
……殺したい。
「これでよしっ。はい。返すな。今夜、電話すっから。じゃ、俺も仕事行くわ。じゃあな。ご馳走さん。」
スタスタと私の横を通り抜けレジに向かったホスト直。
ちょうどレジに居た先輩が対応して店を出て行った。
……何だ。この敗北感。
悔しい。してやられた。
しかも、珈琲飲んでねぇし。
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