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道路脇の車に近付き、中をそっと覗いて見た。
……寝てるし。
運転席のシートを倒し寝ているホスト直。
助手席のウィンドーを軽く叩くと、目を開けてこっちを見た。
ホスト直と目が合った途端、ガバッっと起き上がり車から降りてきた。
「お前。そんな格好で風邪引くだろ。わざわざ下りて来なくて良かったのに。俺、朝まで待つんだったのによ。」
確かに秋口になり少し肌寒い。
ってか、呼んだのはお前だろ。
『あんたが朝まで待つとか訳の分からない事言うからでしょ。バカじゃないの?私、明日はゆっくりだからこんな所に居ても迷惑になるだけよ。あっちに駐車場あるから停めてくれば?』
直ぐ近くの駐車場を指差した。
「…あぁ。分かった。」
『部屋。307号だから。』
言ってマンションに戻った。
しばらくすると、インターフォンの音に
鍵を開けた。
『どーぞ。何も無いけど。』
ドアを開けて中に入るように促す。
「あぁ。悪いな。邪魔する。」
リビングのソファーに座らせ、私はキッチンで珈琲を淹れた。
ローテーブルに珈琲のカップを置いて、私はホスト直の真向かいに座った。
「綺麗にしてんな。ってか、部屋に上げてくれるとか思ってもいなかった。」
珈琲のカップを持ちながらホスト直が言った。
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